カッコイイものを作ってくれそうだから
「集う家」の建物は細長い建物で、商店街に面した1階には店子さんが入っています。リノベーションをするのは奥の住居部分。鉄骨造の建物の中に倉があるという不思議なつくり は、どうやら倉を囲うようにあとから建物を建てたようです。施主さんとの出会いはコンベックス岡山で開催した展示会のブースでした。
あとから聞くと弊社のアンケートにだけ本当の個人情報を記入していたとのこと、「カッコイイものを作ってくれそうだと思ったから」と話す施主さん。嬉しい出会いでした。
施主さんにとってのカッコよさとは?
「カッコイイもの」とっても人によって感じるものはそれぞれ。毎週木曜日の夜に夕食を食べながら、打合せを重ねました。名の通った企業の部長さんで、お子さまもおられて、ご親戚の集まりも多い。とにかくカッコよさの解像度を上げていくのが打合せの主な目的でもあります。
打ち解けて話が出来るようになって、出てきたキーワードが「昭和の偉いさんが行くラウンジのような・・・」なるほど!これは家をつくる感覚でデザインしてはいけないなと。そこからはほぼファーストプレゼンに描いたパースのイメージでほぼ決まっていきました。
空間に命を吹き込む一枚板
施主さんのカッコよさのイメージを具体化した、みんなで集えるリビングダイニング。この空間の主役は、何といっても一枚板の天井飾り照明です。この板は施主様と一緒に材木市で実物を見て購入したもの。私たちは出来る限り施主様に材木を見てもらってから仕入れています。価格も全てわかってしまいますが、高いものはどう違うのかを実際に見てもらったうえで、今回は予算があるのでこちらにしましょう、など納得してもらえるからです。今回の板は、2つのうち安いほうで決めていたのですが、材木屋さんの運搬中に割れてしまったため、高いほうの木を、安いほうの価格で仕入させてもらえました。お客様には内緒にしていたのですが、一目惚れしたほうの板に変わっていたので、とても嬉しいいサプライズとなりました。
4mある重たい無垢の板を2階へ上げるのは本当に一苦労でした。天井への取り付けも6人がかりで苦労しましたが、他のものでは代用できない、この家の象徴でもあります。
窓を無くしても付けて良かった「飾り棚」
施主様との打合せの時、毎回違うカップでコーヒーを淹れていただいていました。まったく同じカップが無いのでお聞きすると、趣味のバイクのツーリングの時に、記念に1客づつ購入しているのだそう。そんな思いであふれるカップを、何とか飾ってあげたいと思いました。でも、計画ではそこに窓があります。開けても隣家の壁がすぐそばに見えるため、思い切って窓を無くしては?と提案しました。
先ずは設計士さんを説得、そして施主さんにも「無いほうがカッコいいです!」と力説して実現した飾り棚。こんなふうに最初の要望にも無かったものでも、施主さんにとって大切だと思えるものは、途中段階でも提案しています。
親戚20人で宴会がしたい
施主さんの当初からの希望だった「20人で宴会がしたい」という要望を叶えるために、家具にも一工夫があります。
無垢板のダイニングテーブルの天板は、脚に固定されていません。脚の形にも工夫があり、脚を倒して使うと座卓の高さになるように設計されています。さらにベンチの椅子も座卓として使える仕様なので、座卓テーブルの長さは合計で3.6メートルに。
後日、「20人以上で宴会が出来たよ」と施主さんから写真をお送りいただけたのは、本当に嬉しかったですね。
古くからある商店街に面した実家をとにかくカッコよくリノベしたくて、デザインの良い業者さんを探しているときに出会いました。木材市で建築士さんと一緒に見つけた無垢板は、いつ見ても飽きないですね。親戚一同が集まって劇的に変わった実家のお披露目宴会ができて、安心しました。