祖母の家をリノベーションして自由に暮らす
祖母から譲り受けた家を、リノベーションして住むことにした夫婦からのご依頼でした。もともとは、この近くにあるご主人の実家をリノベーションして2世帯住宅にする計画を立てられていたのですが、思いがけず住む人のいなくなった家をリノベーションすることに。
その家は古民家というほどではないのですが、昔ながらのよくある古(ふる)民家だったので、その良さを活かして和をベースにしていたプランをご提案していました。
でも話をしていく間に、お二人ともサーフィンが趣味だったり、アメリカンな雑貨を集めているというお話が出てきたので、そこから大きく軌道修正をしていきました。
リノベーションはオーダーメイド。私たちは施主さまとの対話を大事にするため、打合せにも時間をかけます。お話をしている時に「こちらのほうが良いのでは?」と思って急遽プランが変わることは、実はそれほど珍しいことではないん
です。
和とアメリカンの調和
そうして出来上がったのがこのお家。
元々の梁などの構造を活かしつつ、アメリカ西海岸を思わせるようなウッディなインテリアに。あちらこちらにお客様の膨大なコレクション、アメリカンな雑貨が飾られて雰囲気を醸し出しています。ほとんどが施主さまが集められていたものですが、この機会に新しく追加したものもいくつかあります。家は自分たちのためのもの、好きなものを素敵に魅せれる家なら、毎日が楽しく暮らせますよね。
古い梁と木目天井の秘密
カリフォルニアテイストを演出しているウッディな床と天井。実はこのふたつがコストダウンの決め手になっています。
まずは床ですが、この床材のアンティークな塗装はすべて施主さまご家族がDIYで行いました。というのも、奥さまは2級建築士の資格を持っており、旦那さまもDIYに好意的。これだけの床面積の塗装作業費を削減できるのは大きいです。
次に天井ですが、全面アンティーク塗装をした板張りに見えますが、実はクロス張り!天井は近くで見ることが無いので、全く違和感がありませんよね。デザイン重視でもDIYや壁紙を上手に選ぶことでコストダウンをすることは出来ます。その分壁紙選びは妥協せず、中にはアメリカから直接取り寄せたものもあります。
フローリング材を再利用
ひときわ目を引くTVボードのバックの木の壁。この壁は様々な種類のフローリングの端材を張り合わせて作っています。今まで手掛けたたくさんの家の工事で少しづつ余った床材たち、その後もなかなか使い道がありません。それらの端材を集めてランダムに杉綾張りに構築しなおすことで、デザイン性のある唯一無二の個性的な壁になりました。アメリカンキルトのベッドカバーの考え方にも通じます。
リノベーションは使えるものは活かす、廃棄物をなるべく出さない建て方。小さな工事や年数が経ってからの補修もあるので、半端な材料でも捨てずに工務店の倉庫できちんと分類してストックしています。少々面倒ではありますが、きちんと管理すればゴミも資材として生かせます。そんな小さな工夫が価格を抑えることにもつながっています。
広縁は屋外に出してデッキへ
元々屋内にあった広縁は、アメリカの郊外の住宅を思わせるデッキへと大変身しました。昔ながらの良くある「日本家屋」の特徴を良い意味で崩し、庭との繋がりをもっと感じることの出来る新しい空間を生み出しました。リビングからはは大きな掃き出し窓で、開け放てばリビングとデッキと広い庭がつながり、アウトドアリビングとしても使えます。
減築してもなお広々とした素敵な家。古い日本家屋も、建て替えずにリノベーションすることで、空間を贅沢に使えます。施主さまは高額のローンに縛られることなく、自由にサーフィンやアウトドアを楽んでいます。
装飾も施主さまの手で
部屋中の壁や扉に張られているシートも、施主さま自身で貼られたもの。
この家に施主さまの色が強く出ているのは、施工の深い部分まで関わり、パーツ探しも自分たちで積極的に参加されたというのも大きな要因です。家づくりのプロセスも、住み始めてからのカスタマイズも楽しんでくださいました。
そうした家には普通以上の愛着も湧いてくるというもの。ぜひこれからも大事に住んでくださいね!