リノベのストーリー

まずは予算を決めて物件探し

リノベーションでも新築でも、まず重要なのが予算の決定です。
全体でどのくらいの予算に抑えたいのかを、しっかり考えます。その上で、ポイントになってくるのが、ベースとなる物件探しですよね。当然のことですが、物件をお得に手に入れることができれば、その分の予算をリノベーションに回すことができます。

心理的瑕疵（※）物件というのを耳にされた方もあるかもしれません。今回の物件では、この家で病気で亡くなった方がおられる、という理由で、希望のエリアにかかわらず価格も抑えめでした。事件性もなく、施主様は気にならないということで、物件が決まりました。

※心理的瑕疵…入居者が心情的に住みたくないと思う可能性がある物件

こだわりポイントは薪ストーブ

施主様のご要望で、薪ストーブを入れることが初期から決定していました。そうと決まれば内見時から見方は変わってきます。設計士寺越氏と小橋工務店小橋社長で最初に内見に行った時から、どんなお家にするかイメージが浮かんでいました。
例えば、どの空間に薪ストーブを置くかは、とても大切なポイントです。前の家主さんが最後にいた部屋は1Fの洋室です。ここに薪ストーブを置くことで家族団らんの空間に変身します。二人とも同じ考えだったので、その場で決定しました。

窓はなぜ必要か？

リノベーションをするときに、今ある窓をできるだけ残そうとするのが一般的です。ですが、窓の意味や必要性を考えると、必ずしも残すほうが良いとは限らないのです。
例えば今回の例では、元々南側に掃き出し窓がありました。ところが、この窓からは目の前にあるガレージしか見えませんでした。

窓には採光や通風の役割がありますが、良い景色が見れないのであれば、間取りによっては、小さくしたほうが良い場合もあります。この部屋は目線の高さの横長の窓にして、採光を重視することにしました。

対面キッチンの意外な落とし穴

「対面キッチンにしたい！」という方が多くいらっしゃいます。
家族の顔が良く見える・見た目がすっきりしている、などのメリットもあるので、対面キッチンを否定するつもりはありません。
しかし、あまり語られない大きなデメリットとして、使い勝手が悪いというものがあります。対面キッチンはその都度回り込まないといけません。例えるなら、壁と一緒です。はじめは気にならないという方も、毎日過ごすうちに負担となります。
その点、壁付けのI型キッチンは、料理したらダイニングまで一直線です。
家は「住む」ために作るもの。せっかくだったら、日々使いやすいものにしませんか？

気が付いたら予算オーバー！？

私たちは予算内で理想の暮らしを実現することを第一に考えます。それは即ち「取捨選択」です。どこを直して、どこは手を付けないのか。大切な機能や、暮らしの空間を中心に美しく快適にしていき、その他の部分は今あるものを活かすことで調整します。今回は、２階はさわらず、外装にもお金をかけないというプランでした。
ですがリノベーション部分が素敵になればなるほど「二階の壁も変えたい」「屋根もきれいにしたい」と要望が増えていき、気づけば見積もりが予算をオーバーしてしまう事態に…。

何のために家をつくるの？

思い悩んだ奥さまは「薪ストーブを諦めよう」と。これにはご主人も私たちもびっくり仰天。
薪ストーブ生活をしたいために作り始めたお家から、薪ストーブを取るということは、暮らしかたの根本から大きく変わるということ。もちろん今からでも軌道修正できないことはありません。しかし、暮らし方に合わせて間取りも大きく変わります。

そもそもこの物件でいいの？リノベーションでいいの？というところまで考え直さないといけない…。何度も話し合いを続けました。

理想の暮らしを実現するために

当初の予算を上回っても、諦めずに理想を貫くか、予算を重視して妥協点を見出すか。施主さんご夫婦が出した結論は、予算を少し上回っても、この家で理想的な薪ストーブ生活をする。という答えでした。
気になっていた2階のクロスや、屋根にも手を加えました。しかし、残せるものはそのまま活かして、毎日を楽しく暮らせる住まいづくりが完成しました。